竹内まりや|歌詞に注目!おすすめ5曲とその魅力

竹内まりや|歌詞に注目!おすすめ5曲とその魅力

竹内まりや|歌詞に注目!おすすめ5曲とその魅力

1978年のデビュー以来、シンガー・ソングライターとして、また作詞作曲家として多くの人々の心に深く刻まれる音楽を届け続けている竹内まりや。

「不思議なピーチパイ」や「September」など昭和~令和に渡り多くのヒット曲を生み出し、夫・山下達郎と結婚後も、1984年以降はソロアーティストとしての創作活動を再開。

ベストアルバム『Impressions』(1994)が350万枚のセールスを記録するなど、世代を超えて愛されています

「人生」や「恋愛」をテーマにした楽曲は多々ありますが、なかでも竹内まりやの楽曲は、彼女の実体験や彼女自身の思いをそのまま詩に落とし込んでいることもあり、まるで友人や家族が語りかけてくれるような、すごく身近で共感しやすい歌詞が多いと感じます。

今回はそんな彼女の曲の中から、私自身がとくに印象に残った5曲を選んでみました。


メッセージ性が強くて押しつけるような歌ではないのに、ふとした言葉にハッとさせられたり、自分の感情と向き合うきっかけをもらえたり…。

楽曲を初めて聴く方にも、昔よく聴いていたなという方にも、何か心に残るきっかけとなれたら嬉しいです。


1. マンハッタン・キス(1992年)

映画『マンハッタン・キス』の主題歌で、彼女の代表曲のひとつとして今も愛され続けています。
いわゆる”大人の恋愛” ”浮気”の曲ですが、一筋縄ではいかない攻めた楽曲だと思います。

何もかもまるでなかったように
シャツを着る愛しい背中眺めるわ
私より本当はもっと孤独な誰かが
あなたの帰り待ってるわ
すれ違う心の奥見透かしながら

多くの楽曲が「いけないと分かっていても惹かれてしまう」だとか「もう少し早く出会えていれば」という自分と彼だけの世界を中心に描描きがちなのに対して、この曲では彼の“本当のパートナー”──おそらく結婚している女性──の存在までも触れられています。

「私より本当はもっと孤独な誰かがあなたの帰り待ってるわ」というフレーズからは、自分の恋愛の裏側で傷ついているもうひとりの女性の姿が思い浮かびます。
彼は浮気相手に、現妻の愚痴や「今愛しているのは君だけだ」といった言葉をかけているのでしょう。
そしておそらく妻は夫のそんな心の内(自分から離れつつ気持ち)に気付いている。
その妻の存在を感じながらも、結局自分はこの男を愛してしまっている、というある種の諦めの気持ちも感じられます。

第三者の存在を意識させることで、歌詞に現実味が加わり、単なる恋物語以上のものを感じさせる一曲です。

2. 純愛ラプソディ(1994)

ドラマ『出逢った頃の君でいて』主題歌で、作詞・作曲は竹内まりや自身、編曲とプロデュースは夫・山下達郎。
こちらも「実らない恋」がメインテーマですが、「パートナーがいる相手への片思い」なのか、「パートナーがいる相手との関係(不倫)」なのか――この点については、聴き手によって解釈が分かれるところ。

ちなみに私は「片思い」派です。少なくともまだ深い関係にはないのかな…という印象です。
1曲目の『マンハッタン・キス』のように、相手と深い関係にあるが故の愛情や苦しみを歌っている楽曲とは違い、「想いは募るばかり」「胸の中で生き続ける大好きな微笑み」など、まだ「自分の中で一方的に育てている感情」を歌っているように聴こえるからです。

片付いてゆく仲間達にため息
どこまでも主役になれない私でもいいの
人をこんなに好きになり
優しさと強さ知ったわ それだけで幸せ
形では愛の深さは測れない
さよならが永遠の絆に変わることもある

自分が主役にはなれない相手を好きになった――そのことを悔やみながらも、お互いの幸せを壊さないようよう、経験を思い出に距離をとることにした。
個人的には生々しい浮気の歌よりも、浮気未満で想いを断ち切ろうとする歌詞に現実味を感じます。

そして少し視点は変わりますが、「片付いてゆく仲間達にため息」。この歌詞が意外と好きです!
「片付いてゆく」=結婚だと思いますが、いわゆるライフプランが自分だけ進んでいないような気がする感覚、すごくわかります。
あと、ここには少し皮肉も込められているのかなとも思ったり。
「片付いてゆく」ってすごくTODO感が強いというか、例えば「20代のうちに結婚」みたいな、手段が目的になっちゃってて、それをこなしている感がするんですよね。

一方で「私」は主役にはなれないけど、その人のために自分が身を引けるぐらい愛せて、自分の人生を彩ってくれた恋愛を終えた。
はた目にはなにも成し遂げていないように見えるけれど、自分の中でたしかに得たものや変化したものがあるわけで、それは片付いていった仲間たちは経験していないことかもしれない。そういった解釈が終盤の前向きな歌詞にもつながっているような気がします。

3. 家(うち)に帰ろう(マイ・スイート・ホーム)(1981年)


ドラマ『木曜日の食卓』の主題歌。
長く共に過ごしたパートナーや大切な人への、信頼感、不満、諦め、愛情などいろいろな感情が詰まっている一曲です。
夫婦はもちろん、長く付き合い続けて最近マンネリぎみかも…と感じるカップルにもぜひ聞いて欲しいです。

キスすることもなくなった 初恋のあなたが
嫌いになったわけじゃないけど
素直になれないの
ーーー
幻だけの恋ならば 100回でもできる
それならふたり ここで暮らそう
100才になるまで
居心地の良さに 決して甘えないで
やさしさも忘れないで
好きな歌違う 選ぶ絵も違う
でもいちばん私を知っている

前半だけだと別れを決める曲のようにも聴こえますよね。
長く付き合ってきたパートナーと、距離が近いがゆえに生まれるプライドや甘えが、時に素直な気持ちを表しにくくする。
けして嫌いになったわけではないけれど、感情のすれ違いや葛藤が積み重なってきていることに「私」は気づいています。

でも、こうした居心地の良さや安心感は、楽しいだけの恋ではなかなか味わえません。
お互いを深く知り、言葉を交わしながら積み重ねてきた時間があってこそ生まれる、唯一無二の関係です。
「私」のことを一番理解しているのが「あなた」であるいうことも十分知っているのです

その居心地の良さに甘えたり、時には優しさを忘れてしまったりすることもあるから、時折二人の関係や相手への気持ちを振り返る。
付き合いが長いカップルならではのリアルな姿でありながら、なぜ関係が続いているのか、その答えにもなっていると思います。

4. 元気を出して(1988年)


ドラマ『女将になります!』の主題歌。
失恋した友達に宛てた竹内まりやを代表する曲で、 今でも多くのCMやドラマで使用され、世代を超えて愛され続けています。 
 この曲を初めて聞いた中学生くらいの頃、もし友達が失恋したらこの曲の言葉をかけてあげたいと思っていました。

少しやせた そのからだに 似合う服を探して
街へ飛び出せばほら みんな振り返る
チャンスは何度でも 訪れてくれるはず
彼だけが 男じゃないことに気付いて

竹内まりやの楽曲には、余計な言葉を削ぎ落としたような、無駄のない歌詞が多く見られます。 

「元気を出して」もまた、そのまま友達にかける言葉のような、飾り気のないストレートな表現が心に響く一曲です。


とくに印象的なのが「チャンスは何度でも訪れて“くれる”はず」という一節。 

努力してつかみ取るというよりも、「前を向いていれば、自然とチャンスはやってくるよ」と 優しく語りかけるような言葉。

過去の恋にとらわれず、自分らしく歩き出せば、未来はちゃんと変わっていく―― そんなメッセージに、そっと背中を押されるような感覚があります。


5. 人生の扉(2007年)

 

1992年にリリースされたシングルで、竹内まりやにとっては約2年ぶりの新曲。
2025年現在、70代とは思えないほど若く見え、”美魔女”とも呼ばれる竹内まりやが52歳のときにリリースした曲です。
メロディや歌詞はシンプルですが、年齢を重ねることの喜びや人生の美しさを綴った歌詞は、「人生100年時代」の今こそ多くの人の心に響くと思います。

I say it's fun to be 20
You say it's great to be 30
And they say it's lovely to be 40
But I feel it's nice to be 50
ーーー
I say it's fine to be 60
You say it's alright to be 70
And they say it's still good to be 80
But I'll maybe live over 90
ーーー
I say it's sad to get weak
You say it's hard to get older
And they say that life has no meaning
But I still believe it's worth living

それぞれ1番2番ラストのサビです。
各年代を例える "fun" "great" "lovely" "nice" "fine" "alright" "good" は、直訳するとすべて「良い」「素晴らしい」などの意味に置き換えられます。
でも、これらをどう訳し分けるかが個人の感じ方に委ねられる部分―正解はひとつではありません。

20代は楽しいって私は言い、
30代は素晴らしいってあなたは言う。
そして40代は愛すべき年齢だって、みんなが言う。
でも私は、50代でいるのもいいものだと思う。
ーーー
60代も悪くないと私が言うと、
70代もなかなかにいいってあなたは言う。
そして80代だってまだまだ素敵だって、誰もが言う。
だけど私は、もしかしたら90代まで生きるかもしれない。
ーーー
弱っていくのは悲しい、と私は言い、
年を取るのはつらい、とあなたが言う。
人生に意味はない、と人々は言うけれど、
それでも私は、生きる価値はあると信じている。

私はそもそも英語が全くできないので、海外に行くと言語の壁を感じまくっていますが、 "fun" "great" などのそこまで難しくない単語でさえ、人や場面によって何通りもの解釈があるんだと思うと、ますます言語っていつまでも習得できないような気がしてきます…。
同時に、その英語を何通りにも訳せる日本語って素敵だな~と改めて感じます。

また、2024年10月放送『EIGHT-JAM』のインタビューで、竹内まりやさんご本人が「この歌詞を日本語で書くと途端に説教臭くなる」と話されていました。

たしかに日本語で「人生に意味はないと人々は言うけれど、それでも私は生きる価値はあると信じている。」と聞かされると、説教とまではいかなくても、なんだかすごく壮大で重いことのように感じられる気がします。

他言語の方が作詞のニュアンスを伝えられる、ということも不思議な感じですよね。

そして、同じく『EIGHT-JAM』では、「20歳のときに50歳の歌詞は書けないけれど、50歳になれば20歳の歌詞も50歳の歌詞も書ける」という意味のことも仰っていました。

年を重ねることの意義はまさにここに詰まっていると思います。

もちろん20代のその瞬間の感情のまま、いつまでも鮮度を保ってはいられないけれど、それが思い出になったからこそ言える言葉や書ける歌詞がある。


そして、この歌は年を重ねること=誰もに訪れる未来はもっと前向きにとらえられるよ、というメッセージだけでなく、「今この瞬間が素晴らしいものだ」と感じることの大切さも教えてくれます。

どの年代もなかなか悪くないじゃんって楽しめば、その積み重ねが人生になる。とくに人生の節目でもない、なんでもない日にこの曲を聴きながら岐路につきたい、そんな曲です。

まとめ

以上、竹内まりやの楽曲でとくに印象に残った歌詞5選を紹介しました。

皆さんが彼女の楽曲をより深く味わえるきっかけになれたら幸いです!

 



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