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【センスは知識から始まる】感想と要約

要約 センスとは 数値化できない事象のよし悪しを判断し、最適化する能力。 他者からも同じく数値で測られないため、結果的に 相対評価 で判断される。 センスを磨くために ⓪まず必要な要素 あらゆることに気がつく 几帳面さ 、人が見ていないところに気がつける 観察力 ①知識を増やす 良し悪しの基準となる「 普通=定番王道、流行(一過性のもの) 」を知る ② アイデアの土壌を作る 「普通」に 共通項や一定のルール がないかを考える ③アウトプット 今あるものから進化した形へとアウトプットしていく ④さらに精度を高めていく センスを磨く際の注意点 ・最大の敵は 思い込みと主観性 。そのフィルターを通して得た知識をいくら積み重ねても、センスは良くならない。 ・ガラパゴス島に閉じこもって生きている自分を自覚する。 センスを上げるための日常的工夫・活用アイデア ・自分と全く違う職業の人と話す ・興味ない分野を覗いてみる 例:本屋を5分で一周して気になるものを手に取ってみる、 いつも見ない本棚も眺めてみる =知的好奇心の扉が開かれる ・雑誌を眺めて、レイアウトやフォーマットから学ぶ ・企画を考えるとき、 自分の得意分野 (どんな狭いものでも)に結びつけて考える →楽しいし効率も上がる マーケティングにおける落とし穴 ・自分が見たものも、聞いたことも、触ったこともないものをいいと言う人はほとんどいない。 ・現状を100とすると、精々101、110ぐらいになったものをみた時、多くの人が「新鮮だ!欲しい!」と思う。 ・ 「あっ!」(=「え?」)より「へぇー」(=「ありそうでなかったもの」) にヒットは潜んでいる。 ・つまり、全く新しい製品より ''現状より少しレベルのあがった''ものの方が良い反応を得やすい。 ・マーケティング手法としての市場調査では、この結果が得られやすい。しかし、これでは''新しい価値''は創造できない ・市場調査に頼っていると、「自分は何がいいと思い、何が作りたいのか」を自分の頭で考えなくなる(=他力本願)。結果「さらに良くしよう」という向上心を弱めてしまう。 日本企業に欠けているもの 「 ユーザーに''徹底的に''気持ちよさを提供しよう 」というセンス(=追及力?) 美...

【風に立つ】感想とつぶやきと

あらすじ 言葉少ない頑固な父と、父から愛情を感じられずいつしか軽蔑さえ抱くようになってしまった息子。 そんな中、父が非行少年の補導委託を引き受け、一緒に暮らすことに。 父が非行少年に見せる表情や言葉に、戸惑いを抑えられないながらも、非行少年が結ぶかのように父子は少しずつ距離を縮めていく。 父はなぜ補導委託を受けたのか、父の辛い過去とは、父子関係はどうなっていくのか、そして非行少年と両親の関係性から見える非行の原因とは ─── 前半読むにつれて溜まっていく謎が、後半少しずつ丁寧に解されていく。 2つの家族、再生の物語。 感想 設定について 本作を悟と孝雄親子の物語としてみると、、、 頑固な父親と嫋やかな母親。息子は、偏屈ともいえる父親といつのまにか距離ができ、母がそんな父子をつなぐ役割にもなっていた。しかしその溝は埋まらないまま母親は他界。残された息子はますます父への嫌悪感を募らせるが、ある出来事をきっかけに父親の過去や本質を知り、母親が父親のことを「不器用」だと笑っていた意味、父母の愛の在り方が分かる。そこから父親と向き合い、これまで近づけなかった距離を近づけていく。 ーーー正直ありきたりな物語ではある。心情変化に納得感があって、変にお涙ちょうだい感がないのは好みだったけども。 ただ、父子関係が再生し始めるきっかけが「非行少年の補導委託」というのが目新しかった。 個人的に福祉を専攻していたので、その点で興味を持ったのだと思う(もう読もうとした理由は覚えてない)。 非行少年と父親、非行少年と息子、そして父と息子という三者三様の背景、成長が重なり合っている様子が、飽きさせない運びとなっていた。 主人公の心情変化も滑らかで読者を置いていかないし、時系列というか会話の進み方?場面の切り替わり方?がリアルで。 子育てに悩む人、親子関係にわだかまりが残る人、家族に不満がある人 ─── 日常生活でいつしか放っておいた人間関係を見つめ直すきっかけをくれる一冊だと思った。 悟の孝雄に対する印象や距離の変化を、雰囲気で省略せず、悟が孝雄にかける言葉や態度でしっかり現しているのもよかった。 敢えて小説内では語らず、余韻を残して読者に委ねる小説も多いけど、そういうのって消化不良にも感じられちゃうから。 そして最後、悟が補導委託先の責任者になったのもすごくいい!!ストーリーとして!...

【戦略的交渉入門】交渉学は新たな教養

交渉学は新たな教養 概要と感想 「交渉」 という言葉にはどこか“駆け引き”や“押しの強さ”といったイメージがつきまとい、苦手意識を持つ人も多いのではないでしょうか。 また、会社の位置づけや商品の強さ、ひいては運にも左右されるため、自分個人がいくら頑張っても交渉をコントロールするのは無理だと思う方も少なくないと思います。 そんな概念や苦手意識から脱却するきっかけとなるのが、田村次朗・隅田浩司の両氏による著書『戦略的交渉入門』(日本経済新聞出版/2014年)です。 本書は、「交渉」を単なる値引きや取引のテクニックで左右されるものではなく、 「互いの利益を最大化し、信頼関係を築くための知的行動」 と位置づけています。 会社間の“利益の勝ち負け”を競う行為ではなく、あらゆる仕事、人間関係の中で役立つ人間としての新たな教養の一つとも述べています。 実際本書は、交渉における手法だけではなく、商材販売・物販や営業のテクニックとしてイメージのつきやすい内容となっています(主に、惑わされないように事前に知っておくべき心理戦術など)。 「交渉」も「商材販売」の一貫と思うと身につけやすく、実践の場でも知識に裏付けられた自信につなげられそう!と感じました。 ただし、肝心の「交渉力」はこの本を読んだからといってすぐに身につくものではないと思います。 前述の通り交渉場面は毎回状況や条件が違うわけで、場数を踏んでこそ実力として積み上げられるものであるのは間違いないからです。 また、そうした方がいいことはわかってるけど現実なかなか難しい、という手法、戦略もやはりありました。 とくに難しいと感じたのは、「ドア・イン・ザ・フェイス」のような交渉の小手先テクニックと、それに対する交渉戦術の使いどころです。 交渉戦術を知らない人からみると同じように見えてしまうため、冷静な交渉戦術であっても小手先テクニックを使われていると思われかねないだろうという懸念は拭えないでしょう。 また合意の結果、こちら側がかなり利益の高い着地を果たせたとしても、そのプロセスに運要素が強ければ、交渉能力が高いとはいえす、その逆も然りです。 交渉相手が「双方の最大限の利益を目指して」いる相手(自分と同じ志)か、そうでない相手かによっても大きく変わってきます。 交渉の手法も進め方も目指すべき着地点もケースバイケースで、共通する最適解を実...

【水やりはいつも深夜だけど】感想と考察

 水やりはいつも深夜だけど / 窪美澄 所感 この小説は、子育てに悩み苦しむ親とそこに答えを見出す子どもたちの物語、かな。 1~4章は親目線、5,6章は子ども目線(同じ家庭ではない)。 とくに1~4章は子どもが親たちを救ったり結んでくれたりする話が多い。 6章の陸の発言「子どもには家族の形を選べない。大人になったら選べるのかな」の通り、家庭を選べない子どもたちが、家庭を作っていく側の親たちの目を覚まさせてくれる。 親たちの苦悩は少しもドラマチックではなく、むしろ現実味しかないんだけど、不思議と子育てや家庭を作ることにネガティブな印象は抱かなくて… 各章が希望のある終わり方ということもあるかもしれない。 これだけ悩み苦しむことがあるだろうけど、それでもかけがえのない存在として「家庭」を作っていきたいなぁと思えるストーリーの流れだった。 巻末対談の言葉を借りると、主人公たちはパートナーや世間や子供たちに、自分の苦悩やコンプレックスを「わかってほしい」と言っている。 こう解釈すると自分勝手な主人公たちに思えるけど、人間関係の悩みって究極これに尽きるんじゃないか、と思う。 きれいごとかもしれないけど、みんながそのことに自覚的になって、相手を理解しようと歩み寄ろうとするだけで、スルッとほどけていくわだかまりばかりじゃないかな。 全体の感想 情景描写と展開説明は、端的でわかりやすく軽快に読み進められる◎ それでいて短編集だから「寝る前に1章読も~」的な読みやすさは抜群だけど、正直登場人物たちのこれからをもっと長く追いたい!!家族や自分自身に対する感情の変化をもっと丁寧に読みたい!!という物足りなさは感じた。 とくに3章「ゲンノショウコ」。 風花ちゃんには結局障害あったのかもだけど、お母さんが風花ちゃんの行動を通して妹との思い出をどう受け止められるようになったかとか、良樹くんと風花ちゃんのこれからの関係性とか! 読者に委ねられる部分が大きいのかも。 各章の世界線が同じ現代ではあるんだけど、全然干渉しあってないのも個人的に推し! (唯一つながっている5,6章は、6章が5章の後日談的に、単行本制作時に追加収録されたそう) 各章がやんわりつながってる小説も好きだけど、つながってるポイントとか共通する登場人物を探すのに意識とられちゃって感情移入難しいこともあるから。 こ...